夢

毎日この時間になると、俺はやっと安心出来る。

俺は午後８時に眠剤を服用し、午後９時前には眠る。
とりあえず眠っている間は、何も考えず苦しまずに済む。

と言っても、最近は早朝覚醒ならぬ深夜覚醒が多く、酷い時には日付が変わる前に目が覚めてしまう。
寝直そうとしても、なかなか眠れない。

また、眠っているからと言って油断は出来ない。
酷く不快な夢を見るからだ。

俺の見る夢は、俺の現実を如実に表現している。
いつも自分の居場所が無く、俺の透明な存在っぷりがいかんなく発揮されている。

このように、俺が一日の中で唯一安心出来る時間は、夢を見ずに眠っている時間だけだ。

感じるな、考えるんだ

俺は、感情表現に乏しい。

いつからかは定かでないが、長らく笑ってもいないし泣いてもいない。
会社に勤めていた時でさえ、俺は感情を表に出すことは滅多になかった。

なぜこのように、喜怒哀楽を表現する事が困難になってしまったのだろうか。
それはきっと、幼少期から感情を抑圧されてきたからではなかろうか。

当たり前に育った人間は、楽しければ自然に笑顔になる。
だが俺は、仮に楽しいと感じても、一旦それを思考回路に通し、今は楽しいのだから笑顔にならなければいけないと、考えてしまうのだ。
したがって、俺の笑顔は不自然なものになってしまう。

そんな、無駄な作業を、俺は長年続けてきてしまい、終いにはそれに疲れ果ててしまった。
要するに俺は、物事を素直に感じることが出来ず、考えてしまうのだ。

かのブルース・リーは言った。
「考えるな、感じるんだ」

俺はその真逆な作業を、これまで延々と実行し続けてきてしまったのだ。

半年

失業保険は、あと半年しか給付されない。

それまでに何とかしなければ、俺はホームレスにならざるを得ない。
だが、今の俺には何も出来ない。

もうどこかの組織に属し、他者と共に労働行為を行うなど考えられない。
俺は、外線電話はおろか、内線電話さえも恐ろしくてとれない有様だ。

人間追い詰められれば何でも出来る、とよく聞くが、俺の場合はせいぜい自死を選択するぐらいだ。
いや、おそらくその度胸さえ無いだろう。

先の事を考え過ぎるのは良くないのだろうが、現状を鑑みるに、お先真っ暗だ。

時計

何度見ても、全く時間が経っていないように感じる。

エコ

エコエコエコエコうるさい。
俺は、使いたいだけエネルギーを使う。