粘土

俺は、粘土で鉄を作ろうとしているのだろうか。
これは鉄ではない、と何度も否定し、粘土を永遠にこねくり回し続けているのだろうか。
粘土の生き方を実行すれば、いともたやすくそれは達成出来るのにも関わらず、頑なに鉄を作ろうとしてもがいているのだろうか。

混乱

果たして俺は、他者との交流を望んでいるのだろうか。

もしその答えがイエスだとしたら、今の状況は絶望的だ。
そしてその答えがノーだとしたら、今の状況は至極心地よいものになるはずだ。

俺は今、少なくとも心地よいとは言えない。
それは疑う余地が無い。

だとしたならば、俺は本来社交的な人間なのだろうか。
社交的でありながら、その特性を発揮出来ない人間なのだろうか。

俺は今、精神が混乱している。

不自然

ネットを見れば、人々がその興味をそそられるような文字だらけだ。

ネットに限らず、テレビやラジオ等々多くの媒体には、そのような情報が躍っている。
人は、何の疑問もためらいも無く、当たり前かつ積極的にその情報を活用し、人生を彩っている。

その行為は、今の俺にとっては別世界の光景だ。
とてもじゃないが、俺にそれを実行する術は無い。

たとえ無理矢理にそれを俺が実行しようとしても、それは極めて不自然でありぎこちないものとなる。
なぜなら、そこには「楽しまなければならない」という思考が介在しているからだ。

要するに俺は、当たり前に人生を楽しむという、人間としての機能が消失しているのだ。
それでも人間として行動しなければならないという状況は、ひどく不自然な生活形態を発生させる。

そしてその不自然さは、決して解消されるものではなく、永遠に俺を責めたてるのだ。

少数派

今日も俺は、何の活動もしなかった。

世間は明日も休日だ。
多くの人間は、レジャーに繰り出し人生を謳歌しているのだろう。

俺を含めそうでない人間もいるのだろうが、おそらくそれは少数派だ。
別に俺は多数派になりたいわけではないが、このような少数派にはなりたくなかった。

明日も俺は、今日のような一日を繰り返すのだろう。
うんざりだ。

バッテリー

俺は、使い物にならないバッテリーだ。

バッテリーは、充電と放電を繰り返してこそ、その力を発揮する。

俺は過剰に充電し続けた結果、放電する力を失った。

つまり俺というバッテリーは、もはや充電も放電も出来ない鉄くずなのだ。