切れ端

俺は、切れ端を見ても、その中核や結末を見ることなく、終了する。

無起

俺には、何も起こらない。
能動的な行為はおろか、受動的な行為さえ、発生しない。

輪郭

どんなに微細な、あるいは巨大な物体でも、その輪郭は必ず形成されている。
だが俺には、それがない。

尻尾

俺を、人間の部位に例えるとするならば、それは、尻尾だ。

退化

俺は、人間として退化する一方だ。
現状維持さえ出来ない。

琴線

俺の心の琴線を響かせるものは、もう何もない。
それどころか、琴線そのものが消失してしまっている。

無音

俺の生活は、一日中無音だ。
それに耐えるべきではないのかもしれないが、俺は耐えてしまっている。

車

俺という車は、停車しているわけでもなく、駐車しているわけでもなく、もちろん走行しているわけでもない。
廃車となったのだ。

見放し

俺は、見放されたという状況とは、やや異なる。
最初から、俺は見られていなかったのだ。

苦痛

俺が見聞きするすべてのものが、たとえそれが心地よいものだとしても、俺にとっては苦痛以外の何者でもない。