刃物

俺はもう、何も見たくないし何も聞きたくもない。
なぜなら、その映像やその言葉は、鋭利な刃物となり、俺を容赦なく切りつけるからだ。

要因

俺は、人間として、成立していない。
その要因は、俺が透明な存在であることに他ならない。

細胞

俺は、絶望という名の細胞で、形成されている。

生死

俺は、死んではいないが、生きるという作業をやめている。

スイッチ

俺のスイッチには、オンはおろかオフもない。

代償

他者は皆、俺に話しかけられると、間違いなく困惑する。
それを避けるために、俺はかたくなに口を閉ざした。
だが、その結果、俺は多くの代償を払うことになったのだ。
それは、当たり前の人間が、当たり前に持っている、人間としての当たり前な機能だ。

顔

鏡を見る。
酷い顔だ。
これが本当に俺の顔ならば、俺はもう一歩も外に出たくない。

権利

「生きる」という権利があるのなら、「生きない」という権利があってもいい。

末路

俺は、この生活を、消極的に選択している。
いや、俺にはもはや、選択の余地などない。
なるべくしてなった、俺の末路だ。

引算

人間から人間を引いたら、俺になる。