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ペットボトル

俺は、飲み干された後のペットボトルだ。
そしてそれは、ラベルも剥がされフタも除去された、中身のない透明なペットボトルだ。
さらにたちの悪いことに、それはリサイクルされることもなく、ただ放置され意味なく存在しているペットボトルだ。
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足場

俺は、優等生でも劣等生でもないし、平凡という位置にいるわけでもない。
それらは、各々がその位置にいるからこその、個性を放っている。
だが俺には、いる位置が存在しないため、個性が生まれることなど決してない。
つまり俺には、確固たる足場が存在しないのだ。
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鏡を見る。
そこには、ひどく憔悴しきった俺の顔が映し出されている。
俺には、喜怒哀楽などといった表情は、もはやない。
俺はもう、疲れた。
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交差

俺の人生には、他者との交流はおろか、交差さえ存在しない。
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俺という駅には、特急列車はおろか、鈍行列車さえ停車しない。
またホームには、乗客も一人もいない。
それでもその駅は、駅という体を保っていかなければならない。
それはひどく困難な作業である。
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記憶

俺という存在は、誰の記憶にも刻まれない。
ただ通過していくだけだ。

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手品

俺は、何も楽しめない人間になり果てた。
例えば、手品がその良い例だ。
手品は、極論すれば、人をだましている作業に過ぎない。
だまされている人間は、それを忘れて大喜びしている。
俺から見れば、だまされて喜んでいる馬鹿な人間にしか見えない。
このように、俺は、楽しむという機能が消失した人間だ。
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