タイヤ

俺の精神は、タイヤの溝のように、至る所に傷がある。
それはあたかも、彫刻刀と金づちでえぐられたかのような、酷い傷だ。

敵

今の俺は、周囲に敵も味方もいない。
ただ俺は、俺を敵として認識し痛めつけている。

人権

俺には、基本的人権はあっても、精神的人権はない。

意味

生きる意味が存在しないのにもかかわらず、生きなければならない。
これほどむなしい作業は、他にはない。

空洞人間

俺は、上っ面だけの人間だ。

人生の岐路に相対した時、俺はいかに無難にすり抜けるかだけを考え、己を鍛えるとなどという概念は全く持ち合わせず、ただただ消極的に逃避してきた。

その結果、中身には何も存在しない空洞人間が出来上がってしまったのだ。
何の面白みも魅力もない、空洞人間だ。

そのような人間に、興味を持つ者などいない。

自然淘汰

皆、なんてたくましいのだろう。

多くの人間は、皆それぞれの戦場で闘っている。
時には傷にまみれ、時には勝利の美酒に酔い、時には泣き、時には笑い、人生を謳歌している。

おそらくそれが、当たり前の人間の人生なのだろう。
比して俺はどうだ。

俺だけとは思わないが、俺のように、戦場を前にしり込みし足を踏み入れることさえ出来ない人間は、少ない。
俺は、傷を負うこともなく、勝利することもなく、泣いても笑ってもいない。

結局、俺は何をも手に入れることなく、自然淘汰される運命なのだ。