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偽りの衣

俺は、透明な存在だ。

だが俺は人と接する時に、「透明ではない」という色の、偽りの衣をまとう。
そしてあたかも、当たり前の人間を装う。

しかしそんなごまかしは、長続きしない。
メッキが剥がれるように、その偽りの衣は姿を消してしまう。

そして俺は、真の透明な存在となり、人はそんな俺を見失い、やがては俺を忘れ去る。
俺は、その度に心が鉛のように重くなり、俺の透明度もその姿をより強固にする。
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年輪

俺という木には、年輪が存在しない。

年輪が幾重にも重なり、その木は頑丈で強固なものとなる。

だが俺は、50年という一つの年輪しかない。

したがって、俺はもう風雨に耐えられず朽ち果てた木だ。
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