選択

人は、知らず知らずのうちに、最良の選択をしている、とどこかで聞いた覚えがある。

多くの人にとって、それはありがたい言葉になるのであろう。

だが、俺はその言葉の意味を実感出来ない。

俺は今まで、最良の選択をしてきたのだろうか。

もしそうだとしたら、俺の人生はなんとくだらないものだろうか。

バネ

ジャンプをするには、一旦かがむ必要がある。

人はよく、俺のような倒れたままの人間に対して、そう言い励ます。

だが、それは健全なバネを持っている人間にしか通用しないたとえだ。

俺のバネは、かがみ過ぎて固着してしまっているのだ。

仮面

鏡を見る。

俺の顔には、もう表情が無い。

そこには、ゾンビのようなみにくい顔があるだけだ。

俺は外に出るたびに、そのみにくい顔に、当たり前の人間、という作られた仮面をかぶせるのだ。

モニター

俺は、深海に潜む潜水艦だ。

潜望鏡を介し、モニターに映し出される社会を見ているのだ。

それは、あくまでもモニターであって、現実に身を置いて見ている社会ではない。

もはやモニター越しにしか、俺は社会を見れないのだ。

地獄

俺の過去は、地獄の連続だ。

もう二度と、どの過去にも戻りたくはない。

そして現在も、毎日が地獄だ。

俺は、地獄から逃れられない。